生産体制のお話

良い製品を作るための「しくみ」

A.Y.Judieは、現在ほとんどの材料を国産で高品質なものを使い、国内それも本社のまわりで生産しています。この仕組みは創業時代からあったわけでなく、良い製品を作るために段々作り上げていったものです。そして生産は内職と言う外部委託方式で社外の方に材料を渡し加工をお願いしています。安定的に継続し高品質の物つくりが出来るようにすること。そのための工夫の数々を紹介します。

①会社とは別組織で生産してもらう

内職により生産作業をお願いしています。

社内では営業・企画・生産管理・出荷などの組織力が必要な業務を行っています。 一方で製造は、個々の能力にあった職人的作業になります。内職は会社組織に縛られず好きな時間に働けるという利点があり、子育てや介護などの事情で外に働きに行けなかったり、隙間時間で働きたい、自分のミシンを活用して家で働きたいなど、その方の事情を尊重することが出来ます。内職リーダーを中心としたチームにすることで一人ひとりの能力と生産量に合った仕事の割り振りをしながら最適化を図りつつ、高品質の製品を作り上げることが出来るようになっています。

②長く売れ続けるものを作る

2010年くらいの話です。ある雑貨文具店に営業に行った際、春にあれほどご注文を頂いていた製品がお店に行っても全く並んでいません。そこでお店の人に問い合わせたところ「新生活のシーズンが終了したので売場から下げた」との事。その時一年中売れ続ける製品を作らなければと強く感じ、製品開発を年間必要とされるものにシフトした覚えがあります。それ以降季節に影響されず、そして多くの人に需要のある物を作ることを心掛けています。
それにより、年間安定した同じ製品を作ることになり、製品の品質も向上するという事も分かりました。物つくりを長くしてきた方からすると当たりまえの事なのですが。

③必要なものを売れるだけ作る

需要予測を立て、それに合わせた生産を行っています。

お客様の要望にタイムリーに添うためにあらかじめ製品を作ります。ところが大量に作ると製品の劣化も気になりますし、在庫を抱えることになり場所も取ります。そこで需要予測を立て、それに合わせた生産を行っています。春の需要期に急に内職さんに向けて生産量を増やしてほしいとも言えませんので、需要に見合った生産計画を立て、それを外部加工先とも共有し生産にあたっています。そうは言っても年間一定とは言い切れませんが年々平準化がされています。

④生産ロットを小さく

③と似ていますが、一つ一つの製品のロットを小さくしています。同じものをずっと作り続ける方が圧倒的に楽ではあります。少なくすることで他の物を作ることの必要性が生じ、結果として技術も上がります。手間を惜しまず良いものを作り技術を上げることを厭わない内職さんだけが残りました。そして売れ行きに沿った安定した在庫を維持できています。

⑤ 身近で作り、コミュニケーションを密に

創業当時は物を作ることについて何も知らず、ただデザインを生業にしたいという軽い気持ちでのスタートでした。創業前に20年ほど携わった雑貨販売では、ほとんどの品は中国製で、食器とその他ほんの一部が日本製でした。従って製造は当然海外でするものだと思い、中国で製造を依頼しました。 結果的には、とても残念な品質のものが山ほどコンテナで届き、ほとんど販売できず処分するという経験をしました。ものづくり素人のスタートアップには大きな損失でした。そこで、お客様の声を活かしながら試行錯誤し、より良い製品作りをするために、仕様変更などをこまめに行え、作り手と意思疎通ができることが最も重要だと学びました。 

⑥企画から販売までに関わる取引先を減らし、中間マージンをなくす

そして生産者に正当な加工代を払う。
今製造を担ってくれるチームは2拠点あります。リーダーは私の小学校の同級生とか以前の職場からの付き合いが20年以上続いている人たちです。当社の製品だけを作っています。つまり運命共同体でもあり大切な友人です。そうなると願うことはこの仕事を通して幸せになってもらいたい、豊かになってもらいたいということ。そのために小さいながら直販に近づける努力をしています。もちろんそのことがお客様の声を一番聞くための手段でもあります。